マウスピース矯正(インビザライン治療)は差し歯が入っていてもできるのか?

こんにちは。いぬきデンタルクリニック院長の井貫です。

 

今日はマウスピース矯正(インビザライン治療)は差し歯が入っていても治療可能なのかといった、疑問にお答えしていきます。またページの後半では、差し歯の治療とマウスピース矯正を併用した審美治療についてもご紹介いたします。実際の当院での症例も掲載いたしますので、ぜひご覧ください。

 

当院、兵庫県明石市のいぬきデンタルクリニックは、差し歯(被せ物)治療も矯正治療も全て院内で完結し、ワンストップでインビザライン治療を行える数少ない医院です。

 

治療シミュレーションができる無料カウンセリングも実施しているので、歯列矯正・インビザラインを検討中の方はぜひお気軽にお問い合わせください。

>>いぬきデンタルクリニック(西明石)の矯正治療について

 

マウスピース矯正(インビザライン治療)とは?

そもそもマウスピース矯正とはその名の通り、マウスピース型の矯正装置(アライナー)をお口の中に装着することで行う矯正治療のことです。

このマウスピース型の矯正装置はほんの少しづつ形が変わっており(インビザラインであれば0.25㎜ずつ違う)、だんだんと歯が動く治療になっております。

従来のワイヤーを使用した矯正治療とは異なり、歯が動くメカニズム、治療方法など様々な違いがあります。

昨今の歯科医療の発展は、主に被せ物や詰め物などの接着剤の進歩によるものが大きかったですが、このマウスピースを使用した矯正治療はインプラント治療が世界に広まったのと同じぐらいの歯科治療の革新的な進歩ではないかと私は思っております。

 

ちなみにマウスピース矯正には様々な会社(メーカー)の矯正装置があり、特徴なども色々とあります。

当院で行っているマウスピース矯正はインビザラインという会社が製造しているマウスピース型の矯正装置を使用しています。

インビザライン社は現在世界で1700万症例の治療が行われており(2023年12月時点)、世界で最も選択されているマウスピー ス矯正装置です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

>>マウスピース矯正とは?

マウスピース矯正は差し歯や被せ物があっても治療可能なのか?

では、今回の本題に戻りますが、患者様より、「治療した歯があってもマウスピース矯正は行えるのか?」といったご質問をいただくことがございます。

こちらの質問に関してですが、結論から述べると治療した歯があっても治療は可能です。

歯が動くバイオメカニクスは、歯に力が加わることで、歯の周りの骨の吸収や再生が行われることによります。

具体的には以下のようなメカニズムで歯は動きます。

 

①歯が動くのには歯根膜が関係している

歯が動くのには『歯根膜』という組織が深く関係しております。

『歯根膜』とは歯の根っこの周りにある非常に薄い靭帯の膜のことを言います。

歯根膜は薄さ0.2㎜の厚さで、歯根膜があることで歯にかかる力を吸収している役割を果たしています。

 

②歯根膜に力が加わることで歯が動く

歯に矯正のワイヤーなどで適度な力が加わると、歯根膜が引き延ばされる部分(赤色の部分)と歯根膜が圧迫される部分(青色の部分)が出てきます。

歯根膜が引き伸ばされた部分は、歯根膜が元の厚みに戻るために骨を作る作用が働き、反対に歯根膜が圧迫された部分は骨を溶かす作用が働きます。

 

③歯が動くのは骨の再生と破壊の繰り返し

このように歯に矯正治療による力が加わると、骨の再生と骨の吸収が繰り返されます。

結果として、少しづつ歯が動きます。

 

つまり、『歯根膜』がある歯であれば動くのです。

 

それでは今回の本題の差し歯や被せ物の歯があっても矯正治療は可能なのかについてです。

基本的に差し歯とは一度神経の治療を行い、土台が作られている歯のことです。

※差し歯の図:差し歯にはクラウンという歯の頭の部分、コアというクラウンを支える部分よりなるものを言います。

 

つまり、差し歯には根っこもありますし、歯を動かすのに重要な『歯根膜』もあります。

このため、差し歯や被せ物であっても矯正治療にて歯を動かすことは可能なのです。

しかし、差し歯は大きな虫歯になった後の歯なので、ほとんど歯が残っていないことが多いです。

このため、通常の歯より大きな力をかけられないなどの場合もあります。

 

沢山歯の治療をしているのに矯正治療は可能なのかとお悩みの方がいれば、ぜひ今回の記事を参考にしていただけると幸いです。

当院でもマウスピース矯正やワイヤーを使用した矯正治療を行っております。

>>当院のマウスピース矯正治療について

 

差し歯がある方がマウスピース矯正を行う際の注意点

前述した通り、基本的には差し歯がある場合でも、通常通りの矯正治療やマウスピース矯正治療は行うことが可能です。しかし差し歯はそもそも天然の歯と比べると人工物でできており、大きく歯を削られていて歯が薄くなっているなど、綺麗な天然の歯と比較すると異なる点があります。

実際このような違いは矯正治療を行うにあたって様々な問題点がでてきます。

 

①矯正中に差し歯が外れてしまうリスクがある

まず1番目に考えられる問題点としては、矯正期間中に差し歯や被せ物が外れてしまうといった問題が起こることがあります。患者様からすると外れたなら、そのまま戻して矯正治療を続ければ良いのでは?と感じられる方もいらっしゃると思いますが、場合によっては戻すことが難しい場合があります。

差し歯や被せ物を戻すことが難しい場合としては以下のようなことが挙げられます。

  • ・歯が割れてしまっていた。
  • ・差し歯や被せ物の下で虫歯が大きく進行してしまっていた。
  • ・被せ物や差し歯自体が割れたり欠けたりしてしまった。

 

以上のような場合には再度差し歯や被せ物を装着しても、すぐに外れてしまったり、そのまま矯正治療を進めると痛みが出てくる可能性があるなど様々な問題があります。

また、歯が割れたり、差し歯や被せ物の下で虫歯が大きく進行しているような場合ではそもそも歯を保存することが不可能と判断され、抜歯が必要となり、矯正前の治療計画を変更せざるを得なくなる場合もあります。

このため当院では被せ物や差し歯が入っている患者様にはできる限り、矯正前に仮歯に置き換え、矯正治療後に再度被せ物や差し歯の治療を行うことをお勧めしています。

 

②矯正中の歯根破折に注意が必要

2番目に考えられることは差し歯の下の歯が歯根破折を起こす可能性があることです。

上述しましたが、差し歯とはクラウンという歯の頭の部分と、コアというクラウンを支える部分よりなるものを言います。このため差し歯は基本的に虫歯により大きく溶かされてしまった歯に行う治療です。結果として歯が非常に薄くなっていることが多々あります。

矯正治療、マウスピース矯正治療共に歯に力を加える治療です。この歯が非常に薄くなっているところに矯正治療による力が加わると、歯根が破折してしまうリスクがあります。

もし歯根破折が起こると、歯を抜歯する必要があり、治療計画が大きく変わってしまう可能性があります。

 

③差し歯にはアタッチメントが付けられない

3番目にある問題点としては、差し歯や被せ物の材質によっては矯正装置(ブラケットやアタッチメント)が装着できない点です。

ブラケットとはワイヤー矯正治療で歯に装着する装置のことで、アタッチメントとはマウスピース矯正で歯に装着する装置のことです。

基本的には双方ともに歯に接着剤を使用して接着させます。ここで問題となるのが、金属やジルコニアなどでできた被せ物や差し歯がお口の中にある場合です。

基本的には金属やジルコニアなどは一般的に接着剤とあまり馴染みがよくなく、このような材質でできている被せ物や差し歯などには装置を接着させることが非常に困難になります。そうすると、思ったように歯を動かすことができず、結局最終的な仕上がりに大きく関係する可能性があります。

 

④矯正後に差し歯の再製が必要になる可能性がある

4番目にある問題点としては矯正治療後に差し歯や被せ物の再製が必要になる可能性がある点です。

矯正治療前後では噛み合わせや歯の位置が変わります。矯正治療前よりお口の中にある差し歯や被せ物は矯正治療前の噛み合わせや歯の位置で適切に作製されたものになります。

これが矯正治療により歯の位置や噛み合わせが変化すると、しっかりと噛めなくなるなどの問題が出てくる可能性があるのです。

このような場合には、矯正治療後に差し歯や被せ物を外し、再度差し歯や被せ物を作製し直す必要性がでてきます。

 

被せ物、差し歯とマウスピース矯正を併用した審美治療

マウスピース矯正やワイヤー矯正は歯の位置を変えることは可能ですが、歯の個々の形や色を変えることはできません。このため、元々差し歯や被せ物が審美的でない場合や、天然の歯の形自体に問題があるような場合には矯正後も理想的な見た目にならない可能性があります。

当院ではマウスピース矯正と差し歯(セラミックの被せ物など)を併用して、より審美的な矯正治療を得意としており、高度な審美障害にも対応が可能です。

症例1.前歯部の審美障害をマウスピース矯正と差し歯で治療したケース

初診時

初診時

患者様の主訴は虫歯治療で、詰め物が取れてしまった為ご来院されました。また歯並びも綺麗にしたいとのことでした。

マウスピース矯正・虫歯治療後

マウスピース矯正・虫歯治療後

矯正治療と虫歯治療により、見た目も綺麗になりましたが、前歯部の色が調和しておらず、前歯部をセラミッククラウンで治療してより美しい歯列を目指すことになりました。

最終:セラミック治療後

最終:セラミック治療後

ご覧の通り、美しい歯列になりました。こちらの症例について、詳しい治療内容や他のお写真は以下のページでご確認いただけます。

>>前歯部の審美障害をマウスピース矯正とセラミッククラウンで治療を行なった症例

 

 

症例2.前歯部の審美障害をマウスピース矯正と差し歯で治療したケース

初診時

初診時

上前歯が叢生(ガタガタ)の状態でした。また元々の被せ物には透明感がなく、陶器のような人工物特有の不自然な白さで、審美障害がありました。

最終:マウスピース矯正・セラミック治療後

最終:マウスピース矯正・セラミック治療後

歯列のガタガタは矯正治療で治しました。今回のケースはマウスピース矯正での治療が可能でした。また審美障害が発生していた前歯部はセラミックの被せ物に変えることで、陶器のような不自然な白さから、天然の歯とよく馴染む透明感のある見た目になりました。

こちらの症例について、詳しい治療内容や他のお写真は以下のページでご確認いただけます。

>>マウスピース矯正とセラミックで審美改善した症例

 

差し歯だけで前歯の歯並びを治療する方法とは?

近年「セラミック矯正」と呼ばれる言葉を患者様から聞くようになりました。セラミック矯正とは一般的に前歯のガタガタなどを被せ物や差し歯などを使用して矯正治療なしで歯並びを治す治療と言われています。

ガタガタの前歯や歯並びが悪い状態の歯の治療法としては矯正治療が一般的には挙げられますが、このセラミック矯正と呼ばれる治療は歯を大きく削り被せ物や差し歯をすることで歯並びを改善する方法です。

確かに矯正治療を行っても歯を削らないと完全には綺麗にならないような歯の形態などもありますし、もともと詰め物、被せ物、差し歯などが入っている場合などには矯正後に再度被せ物や差し歯の治療などが必要になる場合があります。

しかし矯正を行ってから被せ物や差し歯をすることで、歯の位置や傾きが改善されているため、必要最小限の歯の削合だけですみます。また噛み合わせも改善しているため、術後の被せ物や差し歯なども外れたり欠けたりしにくい噛み合わせにすることができます。

しかし、セラミック矯正は矯正を行うことなく被せ物や差し歯だけで歯の傾きや位置を無理やり改善する治療のため大きく歯を削る必要性がでてきます。

以下にセラミック矯正のデメリットを記載します。

セラミック矯正では噛み合わせまで改善することは難しい

セラミック矯正では審美的に問題がある歯を削り、歯並びを改善するためその他の部位の全体的な噛み合わせを改善することはなかなか困難です。もし全ての歯を削り、噛み合わせの治療まで行うなら別ですが、もし削る必要性がない歯を削るのであれば、それは慎重に行うべきかと当院は考えています。

 

不用意に歯を削って差し歯にすると、歯の寿命に影響がある

当院ではできる限り歯を削る本数を減らし、患者様にご自身の歯を長く使っていただけるようにと考えています。

セラミック矯正を全て否定するわけではありませんが、一度歯を削るとその歯を削る前と同じようにすることは2度とできません。またどんなに精密な被せ物や差し歯であっても、ご自身の天然の歯より綺麗なものはありませんし、被せ物や差し歯の下の虫歯のリスクなどもあります。

特に差し歯になると神経を抜くために大きく歯を削る必要があり、再度治療が行えない可能性などもあります。

つまり、一度歯を削るとその歯の寿命は下がると言えます。

このため例え歯を削る必要性があったとしてもできる限り少なく削るだけで治療が可能な状態に持っていくことが大切だと考えています。つまり歯並びが審美的に大きな問題となる場合には一度矯正を行ってからのセラミック治療をお勧めしています。

審美性、機能性、長期予後を考えた差し歯とマウスピース矯正の併用治療

セラミック矯正は治療が短期間で終わるなど患者様にある一定のメリットがある治療であることには間違いありませんが、全く削らなくて良い綺麗な天然の歯を削ることは、その歯の寿命を減らしてしまいかねません。

これに対して、矯正治療と差し歯や被せ物を併用する治療では、治療期間は長くなってしまいますが、結果としてはより審美的で長期間もつ治療が行えると当院では考えています。

まとめ:兵庫県明石で審美的な矯正治療なら当院まで

ここまで差し歯や被せ物とマウスピース矯正やワイヤー矯正に関してお話ししてきました。矯正専門で治療を行っている歯科医院はたくさんありますし、差し歯や被せ物も通常の歯科医院では治療を受けることができます。しかし、矯正治療と被せものや差し歯を併用した治療を同じ医院で行えることが当院の強みだと思っています。

前歯の審美的な問題でお悩みの方はぜひ当院までご連絡ください。

 

 

監修者情報

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

  • 2013年 東北大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
  • 2022年 いぬきデンタルクリニック 開業

患者さまの生涯にわたりお口の健康を維持し、笑顔あふれる生活をサポートできればと考えております。
お口のことでお悩みの方もそうでない方も是非一度お気軽にご相談ください。

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