明石でインプラント治療|痛みと不安の少ない治療のいぬきデンタルクリニック

【後悔する前に】オールオン4でよくある失敗と後悔しないための対策について

『オールオン4って本当にやってよかったと思える治療ですか?後悔する人もいると聞いて不安です……』

オールオン4、オールオン6とは、歯がほとんど残らないと診断された方に行うことが多いインプラント治療の一つです。

オールオン4,6と呼ばれるインプラント治療は基本的にインプラントを埋入する手術は1日で終了します。またお口の中の状態によっては当日中に人工歯を装着し、インプラントを入れた日より入れ歯などを使用せずに、しっかりと噛むことできる治療です。
このため見た目や咀嚼機能(噛む能力)をなるべく早く回復したいという方にとっては、大変メリットの大きい治療の一つと言えます。

その一方で、『想像していたような治療結果にはならなかった』『かかった費用のわりに満足できなかった」といった後悔の声があることも事実です。当院でも、他院で行なった治療後のトラブルや違和感に関するご相談を受けることもあります。

そこでこのページでは、兵庫県明石市で多くのインプラント治療を行なっている当院が、オールオン4、オールオン6でよくある後悔の理由とその背景、後悔しないために治療前に知っておきたいポイントについて詳しくご説明します。

オールオン4やオールオン6を検討しているけれど同時に不安も感じている、オールオン4の治療で後悔したくないという方は、ぜひこのページをご覧いただき、役立てていただければ幸いです。兵庫県明石市のいぬきデンタルクリニックでは、オールオン4やオールオン6、インプラントオーバーデンチャーなど、歯の大部分を失った患者様のための治療を行っております。オールオン4治療をお考えの方は、まずは一度当院にご相談ください。

目次

オールオン4とは?

オールオン4とは?

オールオン4とは、上顎もしくは下顎の全ての人工歯を4本のインプラント体(インプラント体とはインプラントの根っこのチタンのネジの部分)を使用して支える治療方法のことを言います。

多くの場合は、ほとんど総入れ歯になるような状態の方、つまりほとんど歯が残っていない患者さんに対して行う治療です。

通常、1本のインプラント体に対して1本の人工歯を装着するのが一般的なインプラント治療です。

全ての歯を失った方の場合、2本のインプラント体で3本や4本の人工歯を支える「インプラントブリッジ」を用いるなどして、合計6〜8本のインプラントを埋入することで、片顎の歯を作ることが多々あります。

これに対してオールオン4では、片顎に最低限必要な12本の人工歯を、4本のインプラント体で支える構造になっています。これによってインプラントの本数を抑えられ、手術にかかる時間や費用を軽減できるというメリットがあります。

また、状態によっては、手術当日に仮歯を装着する「即時荷重」が可能となる場合もあります。手術当日から噛む・話すといった機能をある程度回復できる点も、オールオン4の大きな魅力の一つです。

ただし、顎の骨の量や質、咬合力(噛む力)、全身の健康状態などによって、適応できるかどうかは変わります。治療前の検査で適応を慎重に判断すべき治療法であり、誰にでも適応できるわけではありません。

ではここからは、オールオン4を選択した後に「後悔してしまった」と感じる主な理由について、具体的な事例を交えながらご紹介します。

オールオン4で「後悔」する主な理由

当院で今までに受けたことがある、オールオン4、オールオン6で治療後に後悔したとのお声をいただいたケースは以下のようなものがあります。

  1. インプラント4本では咬合力を支えきれなかった
  2. 最終的な上部構造に対して、理想的な位置にインプラントが埋入されていなかった
  3. 人工歯の色や形が希望と異なり、見た目に不満が残った
  4. インプラント周囲炎を発症し、インプラントが脱落した
  5. 術後のメンテナンスに時間と費用がかかり、負担に感じた
  6. 人工歯が破損してしまった
  7. インプラントと顎の骨が結合せず、再手術が必要になった
  8. 介護が必要になった時のことを見据えていなかった

以下でご説明します。

①インプラント4本では咬合力を支えきれなかった

①インプラント4本では咬合力を支えきれなかった

オールオン4は、4本のインプラントで片顎全ての人工歯を支えるという点は、患者さんの経済的な面やインプラント治療後の侵襲度の低さなどからも、非常に魅力的な治療です。しかし、咬合力(噛む力)が強い方や、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方の場合、4本のインプラントでは十分に咬合力を分散することができず、インプラント体や上部構造に過度な負担がかかってしまう場合もあります。

実際に、咬合力が非常に強い方では、「上部構造が欠けた」などのトラブルがあることがあり得ます。また、上部構造が破損しただけであれば、上部構造だけをやりかえるだけで対応はできます。

しかしインプラント体の本数が足りておらず、「インプラント体自体が破折した」、「インプラント自体が脱落した」などのトラブルが起こった場合には対応も非常に困難になります。このような場合にはインプラント自体を撤去するオペが別に必要になり、さらにその後再度インプラント埋入のオペを行い、インプラント体が骨とくっつくのを待ってから再度型取りを行うといった治療が必要になってしまいます。

また4本のインプラントは12本の上部構造を支えるための最小本数です。もし将来1本がダメになってインプラント3本が残った場合には、上部構造を支えることはできないため、再度インプラント埋入のオペを行うか、入れ歯の治療なども考慮する必要性がでてしまいます。

こうしたトラブルを防ぐには、術前にしっかりと咬合力を評価し、必要に応じてインプラントの本数を増やす(オールオン6やオールオン8)、あるいはオールオン4ではなくインプラントオーバーデンチャーなど他の治療法を選択することも重要です。

最終的な上部構造に対して、理想的な位置にインプラントが埋入されていなかった

オールオン4やオールオン6の治療の最終的なゴールはしっかりと噛むことができ、審美的にも患者様が満足する上部構造を入れることです。

オールオン4やオールオン6の治療では基本的には歯科医師が一から上部構造の歯の位置などを設定していきます。そして治療のゴールとして決められた理想的な上部構造の位置や形態に対して適切なポジションや角度にインプラント体を埋入することになります。

全く歯がないので、ある程度の位置でインプラントを入れればいいのでは?と考えられる患者様もいらっしゃいますが、治療のゴールとして決定した理想的な上部構造に対して、適切な位置や角度にインプラントを入れることが非常に重要となります。

理想的な上部構造に対して、適切な位置や角度にインプラントを入れることができなかった場合には、上部構造の形態がインプラント規制されてしまい、見た目、発音、舌をよく噛むなどの、術後の違和感や不満を感じる一因となり得ます。

こうしたトラブルを回避するために、術前に理想的な顎の位置の確認を行い、その後上部構造の形態を決定してCT撮影やシミュレーションソフトを用いた詳細な設計を行い、正確なサージカルガイドなどを使用しインプラント埋入を行うことが重要です。

特にオールオン4やオールオン6のような全体的な補綴治療では、1本のズレが全体に影響する可能性があるため、術前の適切な計画を立案することが求められます。

③人工歯の色や形が希望と異なり、見た目に不満が残った

オールオン4やオールオン6の治療の最終的なゴールは、インプラントを埋入することではなく、患者様が審美的、機能的に上部構造の人工歯の色調や形態も重要な要素です。特に上顎の前歯は、歯並びや歯の大きさ、色合いなどが見た目の印象に直結するため、審美的な満足度を左右する大きなポイントとなります。

しかし、術前の確認が不十分なまま上部構造の製作が進んでしまうと、「歯の大きさに違和感がある」、「前歯の見え方が気に食わない」といった不満につながることがあります。とくに、仮歯の段階で色や形を確認せずに本歯へと移行してしまった場合、治療後に修正が困難となり、後悔の原因になることも少なくありません。

人工歯の見た目に対する感覚は患者様それぞれに合わせたものを作製する必要性があるため、しっかりと仮歯の段階で患者様と対話を行い歯の形態や位置を決定する必要性があります。

④インプラント周囲炎を発症し、インプラントが脱落した

インプラント治療後において最も注意が必要なのが、「インプラント周囲炎」と呼ばれるインプラントの歯周病です。

これは、インプラントの周囲に歯周病菌が付着し、インプラントを支える歯槽骨(顎の骨)を溶かしてしまう病気です。インプラント周囲炎が進行するとインプラントを支えている骨がなくなってしまい、最悪の場合にはインプラントの脱落に至ることがあります。

オールオン4やオールオン6などの治療は、限られた本数のインプラントで人工歯を支えているため、通常のインプラント治療と比較すると清掃性が確保しにくい人工歯の形態になることが多々あります。

このような形態の人工歯の場合にはインプラント周囲に歯周病原菌が付着しやすくなり、インプラント周囲炎のリスクが高くなってしまいます。

また万が一インプラント周囲炎で1本でもインプラントが脱落すると、上部構造を全体を作り直す必要が出てくるという点が大きなリスクになります。これが、部分的なインプラント治療とは異なるオールオン4やオールオン6特有の「後悔につながりやすいポイント」といえると思います。

インプラント周囲炎は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまう場合もあります。定期的なメンテナンスを怠ったり、日頃のブラッシングが不十分な場合には、そのリスクが高まるため術後の定期的なメンテナンスは必須と言えます。

インプラント周囲炎をできる限り防ぐためには、日々のセルフケアの徹底と、歯科医院での定期的なメンテナンスとクリーニングが欠かせません。特にオールオン4のように全体が連結された上部構造をもつ補綴物(被せ物)では、清掃の難易度も上がるため、専門的なケアが必要不可欠です。

⑤術後のメンテナンスに時間と費用がかかり、負担に感じた

上述の通り、オールオン4やオールオン6は術後のメンテナンスがインプラント治療の予後を大きく左右します。長期間にわたり機能性と審美性を保つためには、セルフケアだけでなく、歯科医院での定期的なメンテナンス・噛み合わせの調整などは必須と言えます。

しかしながら、患者様がメンテナンスの重要性を十分に理解せずに、インプラント治療を開始してしまったような場合には、「治療が終わったのに通院しないとダメなのか?」「メンテナンスの費用が負担に感じる」といったようなマイナスな感情を抱く場合もあります。

定期的なメンテナンスではインプラント周囲炎の検査や上部構造とインプラント体を結合しているネジのゆるみの確認、噛み合わせのチェックなどを行います。どれも患者様ご自身ではなかなか気付けないトラブルの前兆を早期発見するためには必須の項目です。

また保険治療での定期的なクリーニングは歯が残っていることが前提になるため、オールオン4やオールオン6のように患者様ご自身の歯が1本も残らないような治療では、定期的なクリーニングも保険診療外となるため患者様の負担額は大きくなってします。

また、オールオン4やオールオン6の上部構造は一部の破損や不具合であっても、全体を取り外しての調整や修理が必要になります。この点も、メンテナンスに要する時間や費用が膨らみやすい要因のひとつです。

治療前に「治療が終わればそれで完了」というイメージを持っていると、こうした術後のメンテナンスが想定外の負担となり、後悔につながります。しかし治療後のメンテナンスこそがオールオン4を長持ちさせるために必須と言えます。このためあらかじめ必要な通院頻度や想定される費用について十分な説明を受け、納得のうえで治療に進むことが重要です。

⑥人工歯が破損してしまった

オールオン4、オールオン6の人工歯には、セラミックやジルコニアなどの耐久性の高い素材が使用されることが一般的ですが、どれほど強度の高い材料であっても、絶対に破損しないというわけではありません。また当院では行ってはおりませんが、歯科医院によっては人工歯に強化プラスチックを使用する場合もあります。強化プラスチックも強度としては十分ありますが、ジルコニアや金属と比較すると弱いため、破切するリスクが高くなります。

更に噛む力が強い方や、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方では、長期間の使用により人工歯の一部に欠けやヒビが入ることがあります。オールオン4、オールオン6の上部構造はすべての歯が連結されているため、1箇所の破損であっても全体が作り直しになってしまう場合や上部構造を一度お預かりしなければならない場合があり、費用がかかってしまいます。

こうしたトラブルに対して「思っていたよりも費用がかかる」「もっと丈夫なものだと思っていた」といった後悔の声につながることも少なくありません。

人工歯の破損リスクをできる限り抑えるためには、適切な噛み合わせの設計や、ナイトガード(マウスピース)を使用するといったことが重要となります。特に就寝時の歯ぎしり・食いしばりは無意識のうちに起きるため、術後の対応策についても治療前にしっかり確認しておくことが大切です。

⑦インプラントと顎の骨が結合せず、再手術が必要になった

⑦インプラントと顎の骨が結合せず、再手術が必要になった

インプラント治療は、インプラント体と顎の骨がオッセオインテグレーションという特殊な結合をすることで安定性が得られます。オールオン4やオールオン6でもこの結合が得られて初めて、上部構造を支える土台として機能します。

しかし、まれにインプラントと骨の結合がうまくいかず、埋入したインプラントが脱落してしまうケースがあります。このようにしっかりと結合しない原因としては、骨の質や量が不十分であった、喫煙・糖尿病など全身状態に影響を与える因子があった、術後の感染や過度な咬合圧がかかったなど、様々な要因が関係すると言われています。

オールオン4は4本のインプラントで片顎全体を支える設計のため、1本でもしっかりとオッセオインテグレーションしなかった場合には、治療計画をその時点で練り直す必要性がでてきます。

具体的には、オッセオインテグレーションしなかったインプラントに対しては再度のオペが必要になります。結果として、「再手術が必要になった」「最初から説明がほしかった」といった後悔につながることも少なくありません。

できる限りインプラントを確実にオッセオインテグレーションさせるためには、術前のCT検査で骨の状態を正確に評価し、全身疾患の状態の把握、患者様に禁煙してもらう、術中に丁寧なオペを行い術後感染などを防ぐことなどが重要となります。

⑧介護が必要になった時のことを見据えていなかった

現在日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳(2024年厚生労働省「簡易生命表」より抜粋)と言われています。

しかし、日本政府の調査によると80歳以上の方で介護が必要な割合は20%を超えています。

このためインプラント治療を行った場合には、必ず介護のことも踏まえて治療の選択を行う必要性があります。

ただ現状ではオールオン4やオールオン6などを行う患者様は、高齢になり介護が必要となった際のことまで考慮して選ばれる方は多くはありません。術後の満足度が高かったとしても、将来的に「歯を外して洗えない」「介助者がケア方法に困っている」「メンテナンスのために歯科医院に通うことが難しい」といった状況が生じた場合、患者様が後悔の念を抱えることも少なくいと考えられます。

オールオン4の上部構造は固定式であるため、自分自身で取り外して洗浄することができません。そのため、介護を受ける立場になった際には、口腔内の清掃やトラブルへの対応を、第三者である介助者に委ねる必要が出てきます。構造的に清掃が難しい箇所もあり、清掃が不十分だとインプラント周囲炎の進行にもつながります。また口腔内の清掃不良は誤嚥性肺炎などの原因にもつながると言われています。

このため、ある程度将来的に介助者が口腔ケアを行いやすい上部構造を設計することや、インプラントオーバーデンチャーのような取り外しが可能な上部構造を選択する方が適している場合もあります。

治療を検討する際には、「今」の利便性や審美性だけでなく、10年後・20年後まで見据えておくことが、後悔しないための大切な視点となります。

後悔しないために知っておくべきポイント

オールオン4で後悔する原因をご説明しましたが、こういった後悔を引き起こさないためにも、治療前に知っておくべき重要なポイントをご紹介します。

  • インプラント4本では不十分なケースもある
  • 骨の状態や噛む力の強さ、歯軋りや食いしばりの有無
  • 術前のシミュレーションが重要
  • インプラントオーバーデンチャーなどの治療も視野に

オールオン4での治療を検討する前に、まずはこれらをしっかりご確認いただき、改めてよく考えるきっかけにしていただければ幸いです。

インプラント4本では不十分なケースもある

オールオン4は、4本のインプラント体で片顎全ての人工歯を支えます。しかし実際には、4本のインプラントで全体を支えるには条件が限られており、すべての患者様に適しているとは限りません。

特に顎の骨の量が不足している場合や、咬合力(噛む力)が強い方、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方では、上部構造やインプラント体に過度な力が集中する恐れがあります。

結果として、術後にインプラント体の破切や上部構造の破損が生じてしまうこともありえます。このような場合には再治療や再手術が必要になることもあります。また先ほどご説明した通り、1本のインプラントにトラブルが生じた場合でも、全体をやり直さなければいけません。

このようなリスクを回避するために、6本のインプラントで上部構造を支えるオールオン6や、8本のインプラントで支えるオールオン8などの治療も、患者様の顎の骨の状態や噛む力の強さなどを加味して検討する必要があります。また場合によっては、取り外し式のインプラントオーバーデンチャーなど、別の治療法を検討した方が長期的に安定するケースもあります。

治療前に「なぜ4本で大丈夫なのか」「自分の場合は4本で本当に適応なのか」をしっかりと説明してもらうことが、後悔のない治療選択の第一歩となります。

骨の状態や噛む力の強さ、歯軋りや食いしばりの有無

オールオン4を安全かつ長期的に維持していくためには、患者様ごとの口腔内や顎骨の状態を正確に把握することが欠かせません。とりわけ重要なのが、インプラントを埋入する部位の骨の「質」と「量」、そして日常的な「噛む力の強さ」や「歯ぎしり・食いしばりの癖」の有無です。

インプラント埋入する部位の骨の重要な要素としては「質」と「量」

「骨質」とは簡単に言うと骨が硬いか柔らかいかということになります。インプラントを埋入するのであれば、硬い方がいいのでは?と思われる方も多いと思いますが、実はそういうわけではありません。

硬すぎる骨は血流が少なくインプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)を妨げると言われています。

このため適度な硬さの骨かどうか術前に診断する必要性があります。

「骨量」とは骨の厚みや高さなど、骨の量のことを言います

インプラントは規格された材料になるため、ある一定の骨の厚みや高さが必要となります。このため骨量が不足している場合、インプラントを埋入することがそもそもできないため、術前にレントゲン検査をしっかりと行い、骨造成などの処置が必要か判断する必要性があります。

また噛む力が強い方や、就寝中に歯軋り食いしばりなどがある方は、上部構造やインプラント体に大きな負荷がかかり、上部構造の破損やインプラント体の脱落などのトラブルが起きやすくなると言われています。このようなリスクがある場合には、上部構造の材料の選択やマウスピースを使用した咬合力の分散を行うなどの対応策が必要となります。

このように、患者様ごとの噛み合わせの特性や骨の状態を見極めずに、一律で「オールオン4が良い治療」と判断してしまうことは、後悔の原因になりかねません。治療を検討する段階で、患者様ごとのリスクの高さをしっかりと評価し、それに応じた選択肢を提示してくれる歯科医院を選ぶことが大切です。

術前のシミュレーションが重要

オールオン4は構造上、きわめて精密な処置が必要になる治療です。そのため、術前のシミュレーションが適切に行われているかどうかが、治療の成否を大きく左右します。

術前のシミュレーションでは、CTデータなどの情報をもとに、インプラントの埋入位置や角度、補綴物のデザインなどを三次元的に設計します。

またオールオン4のような一から全ての歯を作るような治療では顎の位置や噛み合わせの高さ、前歯の位置を術前しっかりと決定することで最終的な補綴装置に対して適切なインプラントポジションの決定を行うことができます。この決定されたインプラントポジションに対してサージカルガイドを使用することで、手術時のリスク軽減だけでなく、噛み合わせや見た目の調和の取れた補綴装置に対してのインプラントの位置に埋入することができ、最終的な上部構造も「思っていたのと違う」といった後悔を防ぐことが可能になります。

インプラントオーバーデンチャーなどの治療も視野に

オールオン4は、機能性や審美性の面で優れた治療法ではありますが、すべての患者様にとって最適な選択肢とは限りません。とくに、骨の状態が悪い方や噛む力が強すぎる方、将来的なメンテナンスの継続が難しい方は、別の治療法を視野に入れることも重要です。

オールオン4の代替案として有力なのが、「インプラントオーバーデンチャー」です。これは、数本のインプラントを支台として使用し、取り外し可能な入れ歯を固定する方法です。オールオン4のような固定式の構造と異なって取り外しができるため、清掃やメンテナンスが比較的簡単であり、将来的に介護が必要となる場合にも対応しやすいというメリットがあります。

また、万が一インプラントの一部にトラブルが起きた場合にも、補綴物全体を再製作せずに対応できることが多く、長期的な使用についても優れています。オールオン4よりも少ない本数のインプラントで治療を行えることが多いため、費用面でもオールオン4より抑えやすいです。「できるだけ費用を抑えながらも噛む力を安定させたい」という方にぴったりの治療です。

どの治療法が適しているかは、口腔内の状態だけでなく、患者様のライフスタイルや価値観によっても変わってきます。治療法を比較検討する際には、オールオン4だけにこだわらず、インプラントオーバーデンチャーやその他の選択肢も含めて相談できる歯科医院を選ぶことが、後悔のない治療選択につながるかと思います。

オールオン4が向いていない人の特徴

オールオン4で後悔しないためのポイントをいくつかご紹介しましたが、これらのポイントを理解していたとしても、そもそもオールオン4に向いていないというケースもあり得ます。

以下ではオールオン4での治療が不向きな方の特徴についてご紹介いたします。

糖尿病や骨粗鬆症などの全身疾患がある方

オールオン4では、外科処置を行って顎の骨にインプラントを埋め込む手術が必要です。そのため、体の免疫力が下がっている方などには向きません。

重度の糖尿病の患者様では、体の免疫力や傷の治りが遅くなるという症状があります。また糖尿病と歯周病は密接に関係しており、糖尿病が進行している方では歯周病も悪くなりやすいと報告されています。

このような場合にはインプラント埋入のオペを行っても傷が治りにくい、術後感染が起こりやすい、インプラントがしっかり固定しなかったなどのようなリスクが生じやすいと言われています。また術後のインプラント周囲炎のリスクも健康な患者様と比較すると高くなります。

骨粗鬆症の患者様で大きな問題があるのはビスホスホネート製剤や抗RANKL薬などの骨吸収の代謝を遅らせる薬を飲まれている方です。このような患者様の場合では外科的処置自体リスクが高くなる(MROJと呼ばれる外科治療後の骨壊死が起こる)場合があります。

ただ骨粗鬆症自体によりインプラントの生着率は大きな影響はないという報告があるため、これらの薬を服用されていない患者様では大きな問題にはならないと言われています。

それ以外にもコントロールできていないような高血圧をお持ちの方や、抗凝固薬や抗血小板薬など血が止まりにくい薬を服用されている方なども外科的な処置ができない可能性があります。

このためこのような持病をお持ちの方がオールオン4を希望される場合には、まず全身状態をしっかりと評価し、主治医との連携のもとで治療方針を決定する必要があります。

定期的なメンテナンスに来れない方

オールオン4によって見た目や噛む力が回復しても、その状態を長く維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎の発症や、上部構造の破損・緩みに気づかず、大きな問題へと進行してしまうリスクが高まります。特にオールオン4のようにすべての人工歯が連結された構造では、1ヶ所の不具合が全体に影響を及ぼすため定期的な検査により早期に発見することが非常に重要です。

またインプラント周囲炎の予防には適切なブラッシングが欠かせません。しかしなかなか患者様ご自身ではしっかりと歯ブラシを当てれているかは評価できないことがほとんどです。

このため、当院では歯科衛生士による定期的な指導は欠かせないと考えています。

しかし「仕事が忙しく通院時間が取れない」「介護や体調の都合で定期的な来院が難しい」といった事情がある方の場合、十分なメンテナンスが継続できない可能性があります。

治療後の生活を無理なく継続できるかどうかを見越して選択することが、長期的に見て「後悔のない治療」につながると言えるでしょう。

喫煙している方

喫煙は、インプラント治療全般において大きなリスク要因です。

たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素は、歯肉の血流を悪化させ、傷の治癒を遅らせるだけでなく、免疫機能を低下させる作用があります。その結果、インプラントと骨の結合がうまく進まず、インプラントが脱落する原因になったり、インプラント周囲炎のリスクもあがります。

そのため、喫煙習慣がある方には、オールオン4の治療を行う前に禁煙をおすすめするのが一般的です。禁煙が難しい場合は、喫煙に伴うリスクやオールオン4の代替治療について、担当医と十分に相談した上で方針を決めることが重要です。

オールオン4が向いている人・後悔しにくい人

オールオン4が向いている人・後悔しにくい人

ここまでご覧いただいた方は、オールオン4での治療がおすすめできるケースは、実はそこまで多くないということがご理解いただけたかと思います。

当院としては正直なところ、上部構造の取り外しのできるインプラントオーバーデンチャー、もしくはインプラントの本数を増やすことでより安定するオールオン6・オールオン8といった治療を選択されることをお勧めすることが多いです。

だからといって全ての方がオールオン4に不向きというわけではありません。どのような方であればオールオン4が向いているか、治療しても後悔しにくいかといったポイントについて、ご説明します。

すでに多くの歯を失っている方

オールオン4は、すでに多数の歯を失っている方、あるいはすべての歯を抜歯しなければならない状態の方にとって適した治療法です。片顎全体の人工歯を固定式で装着できるため、しっかり噛める歯を取り戻したい方にとって、とても良い選択肢となります。

またインプラントを埋入した当日に仮歯が入って、すぐ噛めるようになる点も大きな魅力です。従来の総入れ歯のような「外れる」「食事中の不安」「発音のしづらさ」などに悩まされていた方にとっては、固定式であるオールオン4の快適性が大きな満足感につながることが多いです。

このように、すでに多くの歯を失っている方にとって、オールオン4は非常に有効な選択肢のひとつといえるでしょう。そして同様のことが、オールオン6やオールオン8にも言えます。

入れ歯での治療に抵抗感の強い方

総入れ歯は多くの歯を失った方にとって一般的な治療法ですが、「外れる」「喋りにくい」「噛みにくい」といった不満を感じている方は少なくありません。特に、口元の見た目や話し方が気になる方にとっては、入れ歯を使うこと自体に強い心理的抵抗があることもあります。

インプラントを使用して総入れ歯を固定するインプラントオーバーデンチャーであれば、上記のデメリットは軽減されます。

しかしそもそも、取り外しの必要な入れ歯に抵抗感が強い、という方もおられます。そういった場合には、オールオン4が優れた代替案になります。固定式であるため、取り外しのわずらわしさがなく、食事中や会話中に入れ歯がずれる心配もありません。また、人工歯のデザインや色調を調整することで、自然で美しい見た目を実現できるため、他人から入れ歯と気づかれにくい点も大きな魅力です。

さらに、入れ歯による発音のしづらさや、装着時の異物感といった問題が軽減されることで、生活全体の満足度が向上するケースも多く見られます。見た目・使用感の両面において「自然さ」を重視する方には、オールオン4がより適した選択肢となるでしょう。

もちろん、すべての方に最適というわけではありませんが、入れ歯に対する不安や抵抗感が強い方にとっては、オールオン4という選択肢を知っておく価値は十分にあるといえます。

治療後も定期的なケアを継続できる方

オールオン4を長く快適に使い続けるためには、術後のメンテナンスをしっかりと継続できることが大前提となります。インプラントは人工物であるため虫歯にはなりませんが、インプラント周囲炎のリスクは常に存在します。

オールオン4は小さなトラブルが大きな不具合に発展することもあるため、予防的な管理も重要です。噛み合わせチェックや調整なども定期検診で欠かせません。

このため、治療後も数ヶ月に1回の定期検診に通うことが可能であり、指導されたセルフケアを日常的に行う必要があります。それが可能であれば、オールオン4はいい選択肢と言えます。実際にしっかりメンテナンスを続けている患者様は、10年・15年と長期にわたって良好な状態を維持できているケースが多く見られます。

オールオン4を「一生ものの治療」として選択するためには、治療そのものだけでなく、その後のケアまで含めてご自身のライフスタイルに合っているかを確認することが大切です。

オールオン4の医院選びで後悔しないために

オールオン4の医院選びで後悔しないために

ここまでさまざまな面から、オールオン4で後悔しないためのポイントをご説明しました。最後にお伝えしたい重要なポイントは、治療を受ける際の歯科医院の選び方です。

そこで以下では、歯科医院の選び方をご説明します。

医院でオールオン4の症例が提示されているかどうか

オールオン4は、通常のインプラント治療と比較しても、設計・技術・審美性のいずれにおいても高い精度が求められる治療法です。そのため、医院を選ぶ際には「オールオン4に関する豊富な症例数と経験」を有しているかどうかを確認することが非常に重要です。

経験が豊富な歯科医院では、患者様の口腔内および全身状態に対応した適切な治療計画を立案し、トラブルへの対処なども的確に行えると言えます。

オールオン4のような大きな治療を行う場合には、インプラントの埋入位置のズレや上部構造の設計により、噛み合わせや見た目に不満が出るリスクがあります。またそもそも、患者様が本当にオールオン4に対して適応なのかということをしっかり診断することが最も重要と言えます。

医院のホームページなどで過去の症例写真や実績を確認することも大事だと言えます。また、カウンセリングの際にこれまでの治療例を提示してもらえるか、どのような点に注意しているかを丁寧に説明してくれるかも、医院の信頼性を測るうえでの大きな判断材料になります。

オールオン4のデメリットまでしっかり説明して貰えるか

オールオン4で後悔しないためには、リスクやデメリットについて正しく理解した上で判断することが大切だということは、ここまでご覧いただいた方ならもうご存知かと思います。そしてこういった情報については、歯科医院がカウンセリングで説明すべき内容です。

たとえば、「インプラントが1本でも脱落すると全体の補綴物を作り直す必要がある」「構造上のトラブルが発生すると修理や再治療に時間と費用がかかる」といった点や、「将来的な介護や清掃性の観点で注意が必要」といった要素も、治療前に必ず把握しておくべきことです。

そうした情報を包み隠さずに説明し、患者様が納得して治療に臨めるよう配慮しているかどうかは、信頼できる歯科医院かどうかを見極める大きなポイントだと思います。

後悔のない治療には、治療そのものの質に加え、納得できる十分な説明と対話が欠かせないと当院では考えています。このため患者様の疑問や不安にきちんと向き合ってくれる歯科医院を選ぶことが大切だと言えます。

オールオン4以外の選択肢を提示してくれるか

上の内容と少し被りますが、オールオン4以外の治療法の提示があるかどうかも、重要なポイントだと言えます。

歯科治療は患者様一人ひとりの状態に合わせて設計されるべきものであり、どんなに優れた治療法であっても「全員に最適」とは限りません。オールオン4も同様で、他の治療法の方が適しているケースも存在します。

そのため、医院選びの際には、その他の治療法(たとえばインプラントオーバーデンチャーや部分的なインプラント治療、義歯との比較など)も含めて幅広い選択肢を提示してくれる歯科医院が信頼できる医院ではないかと思います。

複数の選択肢を比較する中で、患者様ご自身の優先順位(審美性・耐久性・費用・将来性など)と照らし合わせながら判断することができれば、納得して選択できるでしょう。逆に、はじめから「オールオン4しか提案されない」という状況では、自分にとって本当に最適な選択肢を見逃してしまう可能性もあります。

当院ではまずしっかりとした診断に乗っ取り患者様にとっての最適な治療方法を提示するように心がけています。自分にとって「後悔のない治療」を選ぶためには、視野を広く持ち、総合的な比較ができる歯科医院を選ぶことが大切だと当院では考えております。

まとめ:オールオン4で後悔したくない方は当院へご相談ください

まとめ:オールオン4で後悔したくない方は当院へご相談ください

オールオン4は、少ないインプラントの本数で全ての歯が入る治療で、患者様にとっては魅力的な治療法です。しかし、治療後に「思っていたのと違った」「もっと他の方法も知っておけばよかった」といった後悔につながらないためには、適応症があることや、術前の診断が必要であることを理解していただくことが大切です。

歯科治療を成功へ導くためには、治療法の決定だけでなく、術前の診断、インプラント埋入のシミュレーション、実際のオペの手技、最終補綴の精度といったすべての過程を丁寧に進めることが欠かせません。将来を見越した選択や、メンテナンスが継続できるかといったことも視野に入れたうえで、「本当に自分に合った治療法かどうか」を見極めていきましょう。

当院では、オールオン4に関する十分な症例と実績をもとに、患者様の状態やご希望に合わせた治療提案を行っています。必要に応じて、インプラントオーバーデンチャーや他の補綴治療も含めた柔軟なご提案をさせていただき、後悔のない選択ができるよう丁寧にサポートいたします。

オールオン4の治療をご検討中の方、またすでに他院で説明を受けたものの不安が残っている方も、まずは一度、当院までご相談ください。専門的な立場から、適切なアドバイスと安心できる治療をご提供いたします。

監修者情報

歯科医師(院長) 井貫 幸一

  • 2013年 東北大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
  • 2022年 いぬきデンタルクリニック 開業

患者さまの生涯にわたりお口の健康を維持し、笑顔あふれる生活をサポートできればと考えております。
お口のことでお悩みの方もそうでない方も是非一度お気軽にご相談ください。

CLINIC

医院紹介

〒673-0041
兵庫県明石市西明石南町2丁目13-18
ユタカ西明石南町ビル2F

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