歯の神経の治療と痛みについて

こんにちは。

いぬきデンタルクリニック院長の井貫です。

今日は『歯の神経の治療と歯の痛み』についてお話ししていきます。

 

 

歯の痛みの種類について

『歯の痛み』と言っても

「奥歯が虫歯じゃないのに歯が痛い。」

「なんだか痛い時と痛くない時で歯の痛みに波がある。」

「もう歯が痛くて夜も寝られない。」

など単に痛みと言っても様々なものがあると思います。

では、これらの痛みの中でどういった痛みであれば早めに歯科医院を受診した方がいいのでしょうか?

 

答えは「全て」が当てはまります。

歯の痛みは上記のように

「奥歯が虫歯じゃないのに歯が痛い。」

「なんだか痛い時と痛くない時で歯の痛みに波がある。」

「もう歯が痛くて夜も寝られない。」

などのように痛みの強さも様々ですが、基本的にお痛みがある場合は歯の状態が非常に悪い場合があります。

むしろお痛みが出た時点で、「大きな虫歯ができている」や「歯周病が進行している」など病状が非常に悪化している可能性があるのです。

 

歯の痛みと虫歯について

患者さまからよくお声をお聞きするのが、

「虫歯になったら歯が痛い。」

「虫歯になったら必ずしみるのでは?」

などのお声をよく耳にします。

しかし、実際には虫歯による歯の痛みは大きく虫歯が進行しないと痛みが出ないのです。

 

これは虫歯の進行度と歯の痛みを表した図になります。

大きく境界線があるのがC2とC3の間です。このC2とC3では大きく違う点が二つあります。

 

C2とC3の違い

①「C2では神経の治療の必要性はない。」

「C3では神経の治療の必要性がある。」

②「C2では痛みやしみがほとんどない場合が多い。」

「C3では痛みやしみを感じる場合が多い。」

上記のような違いがあります。

つまり、虫歯で痛みやしみを感じた場合はほとんどが神経の治療が必要なのです。

また特に最初にお話ししたような「奥歯が虫歯じゃないのに歯が痛い。」などの痛みは、被せ物や詰め物の下で大きな虫歯が進行しているサインかもしれません。

ましてや「歯が痛くて眠れない」ほどの痛みであれば、基本的には神経の処置が必要になります。

 

このように痛みがあるなどの症状を感じた場合は、ほとんどが神経の処置が必要になる可能性があるため、痛みがでる以前から歯科医院に通院して定期的に虫歯がないかのチェックを行うことが大切なのです。

 

なぜ神経の治療は行わない方がいいのか

では、なぜ神経の治療(神経を抜く治療)は行わない方がいいのでしょうか?

これには様々な論文があるのですが、神経の治療を行なった歯は神経の治療を行なっていない歯と比較すると寿命が短くなるのと報告されています。

ある論文では10 年後には81%しか残らなかったと報告されています。

このように神経の治療を行うことで歯の寿命は明らかに小さくなってしまうので、できる限り神経の治療は行わない方がよいのです。

 

神経の治療を回避する方法

それでは神経の治療を回避する方法はないのでしょうか?

『MTAセメント』を的確に使用することで、神経の治療を回避できる場合があります。

しかしこれらには以下のような条件もあります。

①虫歯による痛みがでる前であること

基本的に「歯が痛くて夜も寝られない」、「歯が痛くて死にそう」など強い症状がある場合には神経を全てとりきる必要があります。このため普段から歯科医院に通院し、お痛みがでる前に治療することが必須と言えます。

 

②ラバーダム防湿を使用し無菌的な処置を行えること

神経の治療で最も大切なことが、感染を広げないこと。しかし唾液の中には沢山の細菌がいます。このため「ラバーダム防湿」を適切に行うことで、さらなる感染を防ぐ必要があります。

このようなゴムのマスクを歯につけていく治療になります。

 

③マイクロスコープを使用することで確実に感染した虫歯を除去すること

『MTAセメント』は露出した神経に適切に塗布する必要性があります。しかしこれは非常に繊細で細かい作業になるため、マイクロスコープを使用した治療が不可欠と言えます。

マイクロスコープ裸眼と比較すると20 倍もの拡大した視野で治療を行うことができます。

 

まとめ

今回は『歯の神経の治療と歯の痛み』についてお話ししました。

まずは大切なことは、

「奥歯が虫歯じゃないのに歯が痛い」、「歯の痛みに波がある」程度から「もう歯が痛くて夜も寝られない」、「歯が痛くて夜も寝られない」などの激し痛みまでに発展する前に歯科医院を受診することです。

最後にもう一点ですが、最初に治療をどこで行うかも非常に大切です。

場合によっては神経を残すことも可能な場合があるのです。

 

当院では「MTAセメント」を用いた歯髄温存療法も行っております。

詳しくは以下のリンクをご覧ください。

https://www.inuki-dc.com/preservation.html

 

まずはご自身の歯に虫歯がないかどうかを知ることが、一番大切だと言えます。

 

監修者情報

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

  • 2013年 東北大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
  • 2022年 いぬきデンタルクリニック 開業

患者さまの生涯にわたりお口の健康を維持し、笑顔あふれる生活をサポートできればと考えております。
お口のことでお悩みの方もそうでない方も是非一度お気軽にご相談ください。

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